勇者のいない世界で サンプル - コミティア部活動|ヒロイン☆ふぇすた

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HEROINS 参加ヒロイン&対象作品紹介

(DA☆RK'n SIGHT「勇者のいない世界で」より)

飛鳥さくら
飛鳥さくら
飛鳥さくら

お試し読み

 今年の関東地方は春の到来が遅くて、入学式の当日に桜の満開が重なった。
 美しく咲き誇る桜を見て、僕は突然違和感を覚えた。───桜って、春に咲くものだったろうかって。なんでそんなことを思ったのだか、わからなかった。

 常識離れした突飛な思考など、僕にはこれまで縁がない、はずだった。
 僕───友納秋緒(とものうあきお)という名の、一五歳の少年は、平均的な知性と体格を持ち、平均的な家庭に育ち、特筆すべき才能も、大きな事故や事件に遭遇した経験もない。平均値が服を着て歩いているような、ごくごく普通の人間だ。
 でも、それを後ろめたく思ったことはあまりない。自分は、まだ色がついてない何かなのだ。これから初めて出会う新入生の中でも、とりわけまっさらな。
 色をつけられてしまうかもしれない、という漠然とした期待こそが希望だった。僕がこの世界に生きて何をなすか、僕の役割とは何なのか、それはこれから決まる話なのだ。

 僕が入学する神奈川県立小杉南高校は、数年前に創設されたばかりの新しい学校だ。
 JR武蔵小杉駅横須賀線口前のバスロータリー。工場地帯を再開発し、タワーマンションやオフィスビルに筍のごとく生えそろうエリアの一角に、生徒会から案内役として派遣されたらしい先輩方が、「南高校はこちら」と案内板を掲げて立っていた。
 指示に従って、新幹線の高架に沿うビルの谷間の路地を、ブレザーの制服をまだ着こなせていない集団が、南極のペンギンみたいに覚束ない足取りで無秩序にしかし一方向へ進んでいく。僕もそのひとりになって歩いた。
 誰も彼も、いよいよ始まる高校生活への期待に胸ふくらませていた。それが宝物みたいに、壊れることなんかないみたいに。表情は明るかったり固かったり様々だが、そうした昂揚感の連鎖だけで世界すら変えられるような、そんな気がした。
 ビルの一階のコンビニの、愛想よさげな中年店員が、店の前を掃除しながら、そんな初々しさをまぶしそうに眺めていた。

 入学式は、禿頭の校長の挨拶だの、えらい議員の挨拶だの、いかにも頭が切れそうなメガネの新入生総代の挨拶だの、担任教師の紹介だので、通り一遍で終わった。
 その後は各教室に移動し、担任教師から今後の行事や学業について説明を受ける、最初のホームルームが行われる手はずだった。桜舞い散る渡り廊下を抜けて、僕ら新入生はぞろぞろと教室へ向かった。
 僕は一年B組だった。みなB組であることを喜び、他のクラスの面々からはうらやましがられた。なぜなら担任が若い女性で、ひとことで言って美人だったからだ。
 僕もその輪のひとつに混じり、会話の端に加わった。担任の話が終われば、どこの中学から来て、どんな部活に入っていて、と話題は変わっていった。
 教師陣はいったんミーティングを挟んでいるらしく、担任はなかなか教室に姿を現さなかった。共通の話題が少なくて、じきに一巡してしまい、誰からともなく校内のあちこちに華やかに咲く桜のことを口にし始めた。
 「きれいだよね……」
 「後でみんなで花見しようか。親睦を深めるために」
 その輪の中で、ふっと僕は口にしてしまったのだ。
 「秋に咲く桜って、なかったっけ」
 「秋の桜って、コスモスじゃなくて?」
 「そうじゃなくて、普通にさ、木に咲く桜で……」
 ───そう言ったら、不審者でも見るような胡乱な視線がいっせいに僕に刺さった。
 しまった、と思った。今ので、僕の高校デビューは普通ではなくなってしまった。僕は「いきなり変なことを口走るヤツ」になったのだ。これを放置したら、僕は高校三年間ずっと、「変なヤツ」にカテゴライズされたまま過ごすハメになる。僕は焦った。何か、取り戻せるような言葉を言わなくちゃ。けど、焦れば焦るほど、言葉が出て来なかった。
 すると、
 「いいんじゃないの、それで」
 そのとき初めて教室に入ってきたひとりの女子が、会話に紛れ込んできた。───彼女は、見た目に「変なヤツ」だった。ほとんど白髪だったのだ。八割以上が白髪で、全体的に明るいグレーに見える。
 「あんたの世界じゃ、秋に桜が咲くんだよ。そういうのもアリさ。あたしは好きだよ、そういうの」
 その目立つ外見で視線を一身に集めた彼女は、そのまま中央後方の席にどっかと腰を下ろした。電車の中でおっさんがやらかすような品のないそぶりだった。そのまま、片頬杖をついて、ニヤニヤと、不思議な笑みを浮かべた。
 見た目以上に、態度が「変」だった。いてはいけない異物だと、誰もが思ったろう。花畑のようだった場の空気が自然と、冬空の下のように澄んで引き締まった。
 「あなたは───」まだ名は知らない、お下げ髪で鈴を振るような声の女子が、黒板に貼られたクラス名簿と当人とを見比べて尋ねた。そこは、出席番号二三番、「飛鳥さくら」という名の生徒が座るはずの席だった。
 「これ……、あすかさくら、でいいの?」
 「『あ』で始まるんだったら、二三番なわけないだろう」遠く突き放す口調は、とても女子とは思えなかった───というより、これから新生活をともにする仲間に向けてよい態度ではなかった。「覚えておきな。それでひとりと読むんだ」
 「ひ(、)とり?」
 名を尋ねた女子は、頭にアクセントをつけて返した。たとえば「似鳥」という苗字がある。あるいは「佐藤」でもいい。それと同じように。
 「───ああ、ひとりだよ」
 けれど飛鳥さくらさんは、平板に、アクセントをつけず答えた。
 彼女はそれっきり会話には参加しなかった。やっぱりニヤニヤしたまま、窓の方へと視線を移した。
 同調者───というか、「もっと変なヤツ」の登場により、僕へのレッテルははがれたようだった。助かった、と思い、同時に、そう思った自分が恥ずかしく思えた。自分のレッテルは嫌で、彼女にはレッテルを貼り付けてかまわないのか。身勝手すぎるじゃないか。
 それに、「変なヤツ」の何が悪いんだと言わんばかりの彼女の態度は、僕の目を啓(ひら)かせるには十分だった。そうだ、どんなかたちであれ、僕は「色をつけられる」ことを望んでいたはずだ。彼女はとびきり鮮やかな自分の色を持っている、それは間違いなかった。たとえそれが何色だったとしても。

 飛鳥(ひとり)さくら。
 彼女は、「変なヤツ」だった。気味が悪い、と受け止められるほどの奇矯さで、ほとんどのクラスメートはすぐに、彼女を警戒し近づかなくなった。

 第一に、見た目が変だった。彼女の白髪は異様だった。老いた印象はなく、肌が色白で瞳の色も薄いので、むしろアルビノに近いだろう。いずれにせよ、教室の中でくっきりと浮かび上がって、目立つ存在だった。
 むろん、見た目だけで変なヤツ呼ばわりしたら、今の時代、あるべからざる差別意識だと糾弾されてしまうだろう。実際、彼女の容姿に、髪の色以外奇異な部分はない。むしろ、かなり美人でスタイルがいいから、白髪は魅力をいや増すパーツとすらいえる。これは僕だけでなく、多くの男子が認めるところである。
 すっきり細い顎の小顔美人だ。ゆるふわショートボブっていうのか、横に広がりのあるショートヘアで、顔全体が菱形に近いシルエットになっている。意図して整えてはいないそうで、自然とそうなるのはうらやましいと女子の誰かが言っていた。
 身長や体型は標準的。特に鍛えていたり、ガリガリ机に向かっている様子もなさそうなのに、授業が始まるとすぐ、成績と運動神経は群を抜いていると知れた。そうした基本スペックだけなら、クラスいや学校中のアイドルとして、頂点にいてもおかしくなさそうな人だった。

 だけど飛鳥さんは、誰も近寄らないくらいに変なのだ。
 女子はだいたいグループを作るものだが、彼女はどのグループにも属さず、いつも独りだった。非コミュというわけではなく、学校生活に必要な、当たり障りのない会話や行動はちゃんとする。二人組を作れと言われてうろたえることもない。けれど普段は、誰とも接することがない。クラスが始まって最初の席替えで、一番人気の後方窓際席をしれっとゲットした彼女は、休み時間や放課後は頬杖を突きながら窓の外を見ているのが常だった。
 いま、「頬杖突きながら窓の外を見ているのが常」と述べた。どんな様子を想像するだろうか? 物憂げ? 微笑み? いや───彼女のどこが変といって、最たるものはそこなのだ。彼女はいつも、唇の端をかすかに曲げてニヤニヤ笑っている。
 彼女の顔立ちでいちばん特徴的なのは、切れ長の吊り目だ。ただでさえ気が強そうに見えるところへ、そのニヤニヤ笑いが重なると、あざけり、たくらみ、あるいは悪意───そんな印象を呼び起こさずにはおかない。授業中は真面目ですました顔をしていて、教師受けはいいのに、独りだとそんななのだ。

 そして実際、彼女はいつも強気で、決して誰かにへりくだらなかった。かといって高圧的ではない。他人と向かい合うとき、彼女はまっすぐ相手を見ない。軽く首を傾げて、薄い色の瞳で上目遣いに相手をにらむ。口の端が、やはりにやりと歪んでいる。それが彼女流の、自分が上位に在ることを示す振る舞いだった。
 会話をすれば、いつも気だるげで、他人を小馬鹿にするような口ぶりだった。他の女子がするような軽いおしゃべりとは無縁で、教師に対しても慇懃無礼だ。けれど、直接の悪口雑言を聞いたことはない。彼女には、他人を貶めることで自分の地位を上げる発想など微塵もなく、ただ上位に在り、何の束縛も受けないという事実があるだけなのだ。

 入学当初、そうした態度はたびたび不興を買った。「飛鳥、何を嗤(わら)っている!」と、ある体格のいい男子が義憤に駆られて詰め寄ったこともある。けれど彼女は怖じもしなければ謝りもせず、そいつがさらに歩を進めて間合いを詰めたところで、足首を払うように軽く蹴りを入れた。そいつは重心を崩して床に膝をつき、そのまま無様に転がった。
 「別にぃ。気にしなくっていいよ」
 彼女はその頭上から、気だるげに声を落としたのだった。

 もうひとつ、飛鳥さくらの「変」といえば。
 ときどき、彼女は授業をサボるのだ。それも、授業中にいきなり席を立って外に出て行く。しばらく戻ってこない。
 初めてそれが起きたのは、高校に入って二度目の英語の時間だった。我が一―Bの担任、例の美人教師の受け持ちである。英語の授業は、難易度こそ上がれど進め方は中学の頃と何が変わるというわけでもない。うららかな春の日、みなあまり身が入らず、どこか眠そうにしていた。
 「ふひっ」
 窓際の席から突然奇妙な笑い声がして、その緩んだ空気にぴりりと電流を流した。
 「いっひっひっひ!」
 飛鳥さんが、まるで壊れた人形のように肩を震わせていたのだった。
 前の席に座る天パでイケメンな男子が、背筋を伸ばしてビビり上がった。その様子を見て飛鳥さんは、実に嬉しそうにその肩をばしばし叩きながら、椅子をきしませて立ち上がった。
 「いやぁごめんね驚かせちゃって。いやでもおっかしくってさぁ、いひぃゃははは」
 そもそも飛鳥さんは、うれしくて笑うとかおかしくて笑うとか、そういう自然な笑みを見せたためしがない。誰かの言動に反応するのではなく、こんなふうに、独りで勝手に笑い出すのだ。とても女子とは思えない奇声を発しながら。
 「な、何ですか、あなた! ……えっと、誰だっけ」まだ顔と名前が一致してない担任は、教卓の座席表を見た。「飛鳥さん? とにかく、席に着きなさい!」
 だが飛鳥さんは意にも介さず、すたすた歩いて教室を出ていこうとした。
 「あぁ、気にしないでセンセ、ちょっと呼ばれちゃってさ」
 「呼ばれた?」もちろんそんな呼び声やコール音はどこからも伝わってきていない。「授業中は携帯の電源を切りなさい、と───」バイブの振動音も聞こえなかったが、教師はそう決めつけた。
 「あぁ、違う違う、気にしないでよ───センセ、三行目スペル間違ってる。ロサンゼルスの最後は s じゃなくて es。スペイン語由来の地名だからね」
 「え、そうなの?」
 注意がそれる間に、飛鳥さんはがらり、ぴしゃんと、教室の後ろの戸を開け閉めして出ていった。
 はっと気づいて、担任はすぐに後を追って教室を出ていったが、ちらちらと廊下を見回すと、「変ねぇ、もういない。逃げ足が速いこと」とひとこと毒づいて、すぐに戻って授業を再開した。
 奇妙な事実に気づいた者は僕以外に何人いたろうか───気をそらされたとはいえ、教師が黒板に目を向けてから、彼女を追って廊下に出るまでに、五秒となかったはずだ。そして一―Bの教室は二階にあり、校舎の西階段と中央階段の間にA組~D組の教室が並んでいる。五秒足らずの間に、音も立てずに階段まで駆け抜けたのか? 不可能だ。それとも窓から中庭に飛び降りたのか? A組やC組の教室に潜り込んだのか? いずれにせよ、誰かが気づいて騒ぎになってよさそうなものだ。だが何も起きていない。彼女は、教室を出たとたんに消えたとしか、説明のしようがなかった。

 彼女と同じ中学だった者が何人かいて、中学の頃からずっと奇妙な人だった、と証言した。学外の世間様に迷惑をかける問題行動はないし、何しろ成績は抜群によかったのでおとがめなしだったらしい。
 その話が広がる頃には、生徒も教師もみな慣れて気にしなくなっていた。老婆にも見える白髪も相まって、誰が言うともなく、B組の魔女と噂されるようになった。
 当人は、悪評も陰口も平気の平左で、孤高の自由を謳歌していた。

 僕は、入学式のあの日から、飛鳥さんが気になってしょうがなかった。
 恋愛感情? 違う。単なる好奇心だ。
 普通の人間であることしか知らなかった僕にとって、彼女の普通でない生き方は鮮烈だった。彼女の醸し出す不思議な空気の色合いには染められたいと願い、ニヤニヤ顔も不快に思わなかった。
 いつしか毎日、飛鳥さんを目で追っていた。

 ある日の昼休み、飛鳥さんはいつもの片頬杖で、窓の外を見ていた。……のように見えて、うとうとまどろんでいた。さすがに寝ているときは、ニヤニヤ笑いは面(おもて)に出てこない。それがなければ見目麗しき飛鳥さんを、僕は少し離れた自分の席から、しばし堪能していた。寝ている女子の顔をしげしげ窺っているというのは、悪趣味と言われそうだが。
 と、彼女は突然、ぴくりと体を震わせて目を覚ました。直後に、にやりにやけの笑みが顔に広がった。伸びをしながら立ち上がり、腰に手を当て、頭を掻きながら教室を出ていった。
 授業を抜け出すときと同じだ、と直感した。僕は飛鳥さんの後を追った。彼女が何をしているのか知りたかった。
 昼休みだから廊下には人通りがある。たむろしてだべる集団もいる。飛鳥さんは、そうした騒がしさを払いのけるように、うっとうしげに手をひらひらと振りながら、すたすたと廊下を歩いていった。
 一度、女子トイレの前で足を止めた。中を覗き込んで、それからまた歩き出した。僕もその前を通過したが、中からは女子の甲高いおしゃべりが聞こえてきた。
 トイレの先に、人通りの少ない階段がある。飛鳥さんはそこから一階へ下りた。下りた後、普通なら一階の廊下へと折れて進むところ、彼女はさらに階段を下りた。その先は半地下の倉庫で、常時施錠されている。つまりは行き止まりだ。
 どうやら彼女は、その行き止まり───というか、人気のない暗がりを求めていたらしい。そこでふぅと息をついて、壁に身をもたせかけた。
 彼女は誰も見ていないと思っていたのだろう。けれど、この階段は、手すりの下が金属柵になっている。踊り場の辺りでしゃがみ込むと、その隙間を通して、倉庫の前の彼女の姿がはっきりと見え───。
 ───そこには誰もいなかった。彼女は忽然と姿を消していた。
 え?! 僕はびっくりして、何度か瞬きをした。
 ───そこに彼女はいた。やっぱり、壁に背をもたせかけていた。
 気のせい?
 いや……確かに、数秒、消えた。
 ふっと理解した。彼女が授業をサボり、教室からいなくなるのは、この「消える」現象を他人に見られたくないからだ、と。あの英語の授業のとき、教師が廊下を見たタイミングで、彼女は逃げたのではなく「消える」現象の最中だったとすれば、辻褄は合う。
 飛鳥さんが壁から離れ、再び階段を上ってきたので、僕は慌てて立ち上がった。見ていたと知られるのが気まずかった。
 僕と飛鳥さんはそのまますれ違った。飛鳥さんは、踊り場で立ち尽くしている僕を気にも留めなかった。ただ、彼女はどこか疲れた様子で、そして───僕は一瞬、金属の檻に囲まれた感覚に陥った。彼女に血の匂いがまとわりついていたせいだ、と気づくまでに、少し時間がかかった。

 その日の放課後、僕は意を決して、昇降口で靴を履き替えている飛鳥さんを呼び止めた。
 「飛鳥さん」
 「ん? 友納くんか、なんだい?」
 名前を覚えていてくれたことがちょっとうれしい───というのは置いといて。
 返事はしたものの、動きを止めてはくれなかった。つま先をとんとんと三和土(たたき)に打ちつけてかかとを収めると、飛鳥さんは昇降口を出て歩き出した。僕も靴を履き替えて追いかけた。
 「ちょっと待って、えっと、ちょっと話、いいかな」
 「あたし、もう帰るんだけど」
 「じゃあ、一緒に帰ろう」
 自分でも、何を言ってるんだ、って驚いた。まるで誘ってるみたいじゃないか。
 「一緒に……って」飛鳥さんはひっひっひ、と本当に魔女みたいに笑った。「あたしんち、すぐそこだよ。近いからこの学校にしたんだから」
 飛鳥さんは親指を立て、駅の方角を指し示した。徒歩五分とかかるまい、駅前にそびえるタワーマンション群のことを言っているようだった。
 「それでもよけりゃ、好きにしなよ」
 飛鳥さんはさっさと歩き出して、駅の方向へ通ずる通用門へ向かった。僕は急いで自転車置き場に走り(僕は一五分くらいかけて自転車通学しているのだ)、自分の自転車を引っ張り出して後を追った。
 変な誘い方をしたから、逃げられたりしないか少し心配したけれど、杞憂だった。通用門への通路脇には武道場があって、女子弓道部が黒髪を揺らしながらランニングする傍らを、ぽつんと目立つ白髪が悠然と揺れていた。
 ひとしきり漕いで追いついた後は、彼女の隣を、自転車を押しながら歩いた。
 「飛鳥さん」
 「何」
 「今日の昼休み、どこへ行ってたの」
 飛鳥さんはしばし考えるそぶりを見せた。やがて、階段ですれ違ったことを思い出したようだった。
 「あのとき、見てたのか」
 僕は頷いた。
 「何を見たかは訊かないよ。気のせいだ、忘れな」
 「やだよ。気になる」
 「だから気にすんなって───」
 僕の目がよっぽど真剣だったのか、飛鳥さんは苦々しく顔を歪めた。たぶん今までは、たとえ誰かが気づいても、「気のせいだよ」で押し通してすませていたのだろう。そりゃそうだ、人間が突然消えるなんて、目の当たりにしたって普通は信じたりしない。信じて、気にして、好奇心に満ちて寄ってきた僕は、どうやら飛鳥さんにとって、度し難い存在のようだった。
 しばらく逡巡してから、彼女は答えた。
 「あたしさぁ、近寄りがたい、とか、関わったらヤバい、みたいな雰囲気、出てない?」
 「出てるよ」
 「なら、空気読みなよ」
 「読むかどうかは、自分で決めるよ」
 「ふぅん……変なヤツ」
 「変なのは、飛鳥さんでしょ」
 「あたしは、空気を十分に読んでアレだから」自覚してるんだ、自分が変な行動を取ってるって。……それなら、と、僕は以前から知りたかったことを尋ねた。
 「飛鳥さんは、いいの? 変とか魔女とか言われても」
 答えは、力強くシンプルだった。
 「全然? 誰に何と言われようと、あたしはあたし」
 「うらやましいな、そういう風に考えられるって」
 通用門を出て、駅へ向かう路地に出る。この時間帯は、帰宅する南高生がぞろぞろと歩いているが、静かなものだ。マンションやオフィスビルに挟まれているため、迷惑になるので騒がないようにかなりきついお達しが出ているのだ。かつては何度もクレームが来たらしい。僕らもしばらく無言で歩いた。
 路地を抜けると駅前の広場に出る。角にあるコンビニの前では、見慣れた店員が店の前を掃除していた。万年不機嫌で、二言目には「近頃の若者は」と不平をこぼすおっさんで、南高生が来るのを迷惑がっていた。
 ───微妙に違和感があった。この人、こんなにむっすりしていたっけ? もっと愛想がよかったような……高校近くのコンビニなのだ、高校生の振る舞いにいちいち腹を立てていてやっていけるはずがないのに。
 でも、間違いない、この人は入学式の日初めて見たときから、ずっとこうだった。その愛想の悪さときたら、生徒たちの間で評判になるくらいだ。
 ……飛鳥さんが僕をじっと見ていた。
 「どうかしたかい?」
 「いや、なんでもない……」
 「ふぅん……じゃ、あたしこっちだから」
 飛鳥さんは、何か思い当たった風だったけれど、言葉にはしなかった。

 彼女は交差点を渡って去っていった。行く先を目で追ってみると、近くのマンションの敷地内に入っていくのが見えた。住んでいるというのは、嘘ではないらしい。
 ……二〇階? 三〇階以上、ある? 窓の数を数えようとして、やめた。とにかく高層のマンションだ。……値段もそうなのかな、飛鳥さんちって、もしかしてもの凄いお金持ち? ここで暮らすのって、どんな感じなんだろう。
 平屋の借家住まいには遠い世界の話で、僕はやっぱり考えるのをやめた。まるで違う世界の人が同じクラスにいるのだから、学校というのは面白いところだ、そんなことを思った。

 ───そして、僕が飛鳥さんの秘密を、知る日がやってきた。

 桜の花は既に散り果てた、四月も下旬に差し掛かった頃だった。みなだいぶ学校にも慣れ、授業もみっちり本格的になってきていた。
 その日の授業が終わり、SHR(ショートホームルーム)も済んでみながどやどやと教室を去っていく中、僕と飛鳥さんは担任に呼び止められた。
 「えーっと、友納くん、飛鳥さん、ちょっと残って。あなたたち、部活の入部希望届、まだ出してないでしょう」
 文武両道を謳う南高では、部活動も学業の一環と位置づけられていて、何らかの部活に必ず入らなくてはならない。一年生はまだ仮入部期間だけれど、正式に各部に入部届を出す前に、実際にどの部活に入部するかとは関係なく、まずその「希望届」を、第三希望まで書いて提出する必要があった。
 希望の多い部は、仮入部者や見学者の人数を絞る調整を行ったり、入部自体が抽選になったりするためだ。本当は、入学直後の部活動説明会の翌日には出さなければならないものだったが、僕らは提出していなかった。
 「提出必須ですか。希望する部活に入れなくなるかもしれない、ってだけでしょう」
 尋ねてみると、担任の返事はこうだった。
 「最終的に統計を取るんですって、だから、必須なの。私は六時くらいまでいるから、それまでに職員室に出しに来てくれる? 出すまで帰っちゃダメよ」
 担任が出ていくと、放課後の教室には、僕と飛鳥さんだけが残された。
 ふたりっきり……といえばロマンチックだが。
 「……めんどくせー……」
 飛鳥さんが希望届の用紙をひらひらと振りながら、どっかと自分の席に腰を下ろした。そして窓の外をぼんやりと眺めた。物憂げ……というより、単につまらなそうだった。
 南校舎二階の窓は、サッカーコートと陸上トラックが整備された大グラウンドに面している。各運動部が、新入生に見せつけるように張り切って声をあげていた。窓の下をやたらばかでかい声をあげてランニングする道着姿は……空手部か。
 「あー、うぜぇ。あんなん、ぜってームリ」
 「まぁ確かに、体育会系なヒエラルキーに染まった飛鳥さんなんて、想像つかないね」
 僕は、飛鳥さんの隣の席に勝手に腰を下ろして、相槌を打った。
 「入りたくないんだよねー、部活。どっか適当に幽霊部員になるしかないんだけどさぁ……入部したら、興味持ってるフリくらいはしなきゃダメじゃん? それさえ、メンドーだわ」
 飛鳥さんは変人ではあるが、学校生活に支障をきたさない程度のコミュニケーションはする。それを怠ると、さらに面倒ごとが起きて、本意でない振る舞いをさせられると承知しているからだ。変人なりの処世術といえる、が、それはそれで不本意には違いない。
 「友納は、何で出してないのさ」
 「飛鳥さんがどの部活に入るのか、確かめてからにしようと思って」
 「……あんた、ちょいちょいさらっとスゴいこと言うよね。何なんだい?」
 「けっこう本気なんだけど」
 「チョーシ狂うなぁ……」
 飛鳥さんは困った顔をして窓の方へ顔を背けた───そして何気なく白髪をかき上げた。女の子が会話中に髪に触れたら好意のサインとかいうが、飛鳥さんに限っていえばそれはただの無意味なしぐさで、単に話題を切り替えたいだけだろうと察せられた。それでも、一瞬見えたうなじに、僕はちょっとどきっとした。
 「どしたん? 友納」
 「いや……何でもない。それで、部活、どうする?」
 「んー、そーだなぁ、放課後、まったりする居場所は欲しいなー、とは思ってるんだよね。授業サボった後もさ、すぐ戻んの馬鹿らしいから、部室とかあると便利かな、って。友納、南高(ウチ)でいちばんやる気がなくって、今にもつぶれそうで、部室を即乗っ取れちゃいそうな部って、どっかねぇの?」
 「知らないよ、そんなの……」
 部活動説明会のときに、生徒会が発行した、全部活を紹介する冊子をもらっている。索引のページを開いてみると、五〇近く並んでいた。
 「この中から適当に探すしかないね」
 「んー、……何か、どこも必死こいてやってそうなとこばっかだな。インターアクトってなんだっけ……」
 「ボランティア」
 「ぜってーイヤ……」
 索引のページと紹介のページを何度か見比べてみたが、まったく身が入っていない飛鳥さんからは、結論が出てきそうになかった。

 ───と。
 「あ」
 突然、飛鳥さんが立ち上がった。顔のにやつきが、深くなっている。
 授業を抜け出すときと、同じことが起きている、と察した。
 「ちょっと外出るわ。できたらさ、その紙、適当なこと書いて出しといてくんないかな」
 「待って!」
 身を翻して去っていこうとする飛鳥さんの手を、思わず後ろからつかんでいた。このときを、逃したくなかった。
 「え……」
 飛鳥さんが驚いて振り向いた。笑みが消え、本当に驚いていた。
 「僕も、連れていって欲しいんだ。君が行くところへ」
 「な……馬鹿! そんなこと……」
 飛鳥さんは僕の手をふりほどこうとした。だけど、僕は思いっきり力をこめて彼女の手を握った。決して、離されなかった。
 飛鳥さんの表情が一瞬、葛藤に満ちた。目を見開いて、口をへの字に結んで、何かに耐えるような。だが、最後には、すべてを振り切るようにこう叫んだ。
 「後でごちゃごちゃ騒ぐなよ、あんたの決断だからな!」
 次の瞬間。
 信ずべからざることが起きた。
 僕らは、見たこともない場所へ、瞬間移動したのだ。

 そこは、アルガレイム大陸の北東部、バンギア帝国首都マーガスの、帝城の地下大空洞に秘かに築かれた、大聖堂の中だった。
 ───え、何だって?
 『見たこともない場所』じゃないのか。「ここはいったいどこなんだ!」が正しい反応じゃないのか。それに、ここは屋内だのに、なぜ地下だとわかったのだ。
 それでも、何もかもがわかっていた。
 目が、耳が、肌が、心臓が、頭脳以外のすべての器官が、初めて見る景色、初めて触れる淀んだ空気、地下なのに明るく照らされ、浮かび上がる陰影の不気味な感覚に圧倒されて縮み上がっている。でも頭の中には、すべての知識が並んでいた。
 僕は、地球という星の、日本という国の、神奈川県に住んでいる。それと同じように、アルガレイムという世界の、バンギアという国の、マーガス地下大聖堂に、今、いるのだ。

 大聖堂は、ヴォールトが組み合わされ、太いギリシャ風の柱に支えられた構造で、見るからにゴシック建築だが、装飾は平板で、描かれているのか貼り付いているのか、ともかく彫刻というには陰影に乏しい薄汚れた何かが、壁のあちこちに備わっていた。
 柱は苔むしていて、方々崩れ落ちているにもかかわらず、天井には歪みがなかった。床に椅子は備えられておらず、広間になっていて、おおむね石畳で舗装されていたが、目地のへこみが見当たらないほど滑らかだった。
 地下だのにどこから光を取り込んでいるのか、ステンドグラスがまばゆいほどに光り、カラフルな色を床に投げかけていた。それで十分な光量があるのに、壁一面に並んだ燭台には、大量のろうそくの炎が揺れている。
 つまるところ、ここは中世ヨーロッパ風の建造物の内部だ。けれど中世ヨーロッパとは違う。ありそうだけど、ありえないことばかりだ。この表現が正しいかわからないが、僕の感覚に照らして正確に表現するなら───『ゲームのビジュアルでしか見ることがないような』建造物の内部だった。
 しかも、僕らは、その床に立っているのではない。ステンドグラスの真下にしつらえられた円形の祭壇の直上、地上一〇メートルくらいに、炎色反応実験でもありえないような黒紫色の炎のゆらめきを伴って、宙に、浮いている。

 祭壇の下に、血まみれの男が這いつくばっていた。建物の入り口とおぼしきところから祭壇まで、血痕が点々と続き、どこかで手傷を負わされてからここまで逃げてきたものらしかった。
 男は、金糸やビーズの刺繍を施された裾の長い黒のローブを着、手には、杖頭に山羊の頭をかたどった、稲妻のようにいびつな形状の杖を持っていた。それは、アルガレイムに広く普及するアルガ真教において、異端の魔王崇拝で知られるイーブラ派の、黒司祭と呼ばれる指導者の持ち物であることを、僕はやはりなぜだか理解しているのだった。
 男は、杖を頼りにどうにか体を起こすと、祈るようにすがるように、黒紫色の炎に向けて手を伸ばした。
 「魔王様、魔王ゴルマデス様、どうかお出ましを! 我に……我が呼び声にお応えを!」

 ……いま何が起きているのか。懸命に状況を理解しようと努める僕を、飛鳥さんはじっと見ていた。探るような上目遣いで。
 飛鳥さんは、僕と同じように宙に浮いていた。僕も彼女も小杉南高校の制服姿のままだ。制服は似つかわしくない場所のように思えたけれど、飛鳥さんにとっては、その姿で幽霊のように漂っていることが、いつもどおりでさも当然、といった風だった。
 「ここはアルガレイムだ。わかるかい」
 僕は頷いた。
 「そうか、わかるんだね。世界知識が勝手に入ってきてうっとうしいだろうけれど、おかげで混乱しなくてすむのだから、我慢しておくれ。……もうひとつ質問。いま、何か為すべき役割を感じているかい」
 僕は首を横に振った。
 「そうか。……なら、ただ巻き込んでしまっただけなのか。何が起きるかわからんと思っていたが、こういうこともあるのか、初めて知ったよ」
 飛鳥さんはふぅむと首を傾げた。
 「以前似たようなことが起きたときは、相手は現実世界に置き去りだった。ずいぶん長いこと消えていたらしいから、ごまかすのに苦労したんだよ。もっとも、こっちにどれだけいても、現実じゃせいぜい一〇秒ってとこなんだが」
 「現実世界……」
 「ここはいわゆる異世界というヤツさ───平行世界、ファンタジーワールド、おとぎの国、表現は何でもいいけどね。まぁ、あたしが便宜上『現実世界』『異世界』と呼び分けているだけで、どっちも現実といえば現実に違いない」
 現実。これが……。
 建設が不可能としか思えない地下の聖堂も、宙に浮いていることも、今起きている出来事に僕自身が心の平衡を保っていることも、全部現実とは思えない。でも、現実なのだ。僕にははっきり覚醒している自覚があるし、目の前にいる飛鳥さんは、これが現実だと言っている。ならば、現実なのだ。
 「それよりあたしは、なんであんたが世界移動できたのか、それが不思議だ。気づいてなくても、何か役割があるのかな? そんな感じはしないんだけどね……」
 飛鳥さんは、宙を軽く蹴って───不思議と、空中でも簡単に移動できるのだ───近寄ってきた。そして、僕の頬に手を当てて、目の奥底をじっと覗き込んだ。
 「うーん───よくわかんないな。でも、赤ん坊はあたしの召喚に気づくそぶりを見せることがあるから、それと似たような感じかな。魂が赤ん坊のままだと、いっしょに召喚されてしまうのかもしれない。ふぅん……」
 触れた手の温かさにどきどきしてしまう僕は、その言葉をうまく受け止められず戸惑ったけれど、含まれたある聞き慣れない単語が、ふっと僕の思考を呼び戻した。
 「召喚……」
 「そう、召喚。あたしはこの世界に召喚されたんだ」
 「なんで」
 「あんた、あたしがどう見える?」
 「どうって、飛鳥さん。制服を着て、白い髪で……」
 「だろうね。じゃあ、」
 飛鳥さんは僕から距離を取り、おもむろに手を広げた。すると突然、何もかもが彼女の周囲に急速に集まっていくような、強烈な吸引力が生じた。
 「今は」
 僕も一時は吸い込まれそうになり、その力に懸命に抗っていたが……やがて逆に、勢いよく弾き出された。僕らの周囲に生じていた黒紫色の炎が、すべて彼女のもとに集まり、彼女を中心とした火球となって、火勢を著しく増しているのだった。僕は、その火球には入り込めなかった。
 火球は膨張し続け、飛鳥さんの姿を隠してしまった。まるで小さな太陽のようにフレアをもまとい、聖堂内の空間を満たして勢いよく燃え盛る。太陽と違うのは、黒紫の妖しい輝きを放っていることだ───やがて炎が生き物のように蠢(うごめ)き始めた。火球の中に、飛鳥さんでない何かがいる。孵化直前の、卵のようだった。
 「どう見える?」
 黒紫の炎のゆらめきが少しずつ収まり、球体の表面が消えていくと、中にいる何かが実体として姿を見せ始めた。火球の中から姿を現したのは……。
 ───体高一〇メートルは超そうかという、爬虫類に似た巨大な生物。……龍(ドラゴン)といえばいいのか? いや、そのひとことで収めるのは難しい怪異だった。
 ただ巨大な爬虫類、というのでない。二足で立つ、頑強な足腰を持ち、体全体を黒光りする金属質の鱗が覆い、手指の先の鉤爪は、砥石で研ぎ上げたばかりのような輝く刃を備えている。長く太い尻尾は、太い手足のさらなる支えとなると同時に、その先端はどこまで続くかと思うほど細く長く、さながら鞭のようにしなってびしりびしりと地面を打っていた。
 さらに体の各部は、他の生き物の特徴を取り込み、また、想像もできない形状をも兼ね備えた、異形のキメラでもあった。背にはコウモリの羽を備え、頭部には牛のねじれ角が前方に突き出している。大きく割れて開く口には鮫のように鋭い牙が、中はむろん外にまで突き出すほどに生えそろっている。
 そして首、手首、足首といった、肉体がくびれて細くなっている部分には、そこを守るかのように、鱗とは違う長細い軟体の触手が、毛髪のように生えていた。寄生する別の生命体なのか、それらは一本一本が独立して蛇のように不気味に蠢いていた。先端をよく見ると、それぞれ違うかたちのしゃれこうべだった。
 明らかに、生物の系統樹はむろん、民俗伝承からも遠く離れた、人智に属さない威容の生き物が、そこにいるのだった。

 でも、それは飛鳥さんなのだ。彼女の姿も、重なり合うようにしてそこに在った。身長一六〇センチ足らず、制服姿の飛鳥さんと、体高一〇メートルを超えようかというその異形が、同一の存在としてそこにいる。どう説明すればいいか……憑依している霊の姿が見えている、というのがいちばん近いように思う。くっきり実体として見えているのが異形の龍で、憑依しているのが飛鳥さんだ。
 「あたしは魔王だよ。破壊と殺戮が仕事だ。邪悪な者に召喚されてここに来た」飛鳥さんが話しかけてきた。「クラスの連中があたしを魔女とか呼んでるのは知ってる。ちゃんちゃらおかしいね、魔女どころじゃない、あたしは、魔王だ」

本編へつづく

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